【レイジは】移民の叫び”Rage against the Machine”・考察まとめ【なぜ怒るか】

音楽の話

“Rage against the Machine”の怒りのトラックを考察

こんばんわ。坂口健太郎です。ウソです。イチローです。あ、ブラウザ閉じないで。

今日は今日とて大好きなバンド”Rage against the Machine”について書いていこうと思います。

もうね。わかってるんですよ。今更じぶんがこの手のバンドの魅力を語ることの意味のなさとか手遅れ感とか。ね。

でも好きなんだからしゃーない。別にクリエイティブのために生きているわけでもないし、今のところそこまで経済的にもやられきってないから好きなことばかり書くことができる。ありがたいことだ。

そんな感じなので今日も付き合いたての彼氏のアパートに「きちゃった(はーと)」って言いながら土足で入り込んでくる彼女みたいな距離感で書き進めていこうと思います。

そもそもなぜザックはあんなに怒っていたのだろう?勝手にアポなしでアパートを訪ねられたわけじゃなさそうだし、その程度のことでこのバンドの怒りのパワーは説明できない。

今回は”Rage against the Machine”の怒りの謎に迫ってみようと思う。

ミュジックガレージより

レイジ・アゲインスト・ザ・マシーン(英: Rage Against the Machine)は、アメリカ合衆国のロックバンド。

1990年にカリフォルニア州ロサンゼルスで結成された。

英語圏ではRATM、日本においてはレイジという略称で呼ばれる。

Wikipediaより

“Rage against the Machine”の概要・レイジの怒りについて

“Rage against the Machine”についてなんとなく概要みたいなものを。便宜上ここからバンドのことを”レイジ”と呼ぶことにする。

レイジは1990年結成。2000年に解散するまで通算3枚のオリジナルアルバムと、1枚のカバーアルバムを発表している。

1stが1992年で、2ndが1996年。3rdが1999年。90年代はレイジの年だったと言っても過言ではない。ファンでない人ごめんスマン。

(ちなみに2007年に再結成を果たしたが、この記事では再結成後の情報はほとんど出てきません)

“レイジ・アゲインスト・ザ・マシーン”の名前を単語ごとに解釈していくと「レイジ=怒り」「アゲインスト=逆らう」「マシーン=アメリカ政党組織」ということになる。

単純にバンドの曲を知らなくたって「なんかコイツらめっちゃ怒ってるやん」ということがわかる。改めて考えるとなんか怖いバンド名だ。

更にさらにレイジの曲を聴いていくと「やっぱりコイツらどちゃくそキレとるやん」ということがわかる。

ザックのラップは歌というより叫びに近い。その後ろでせめぎ合う怒れるサウンド。メロディなどもはやない。パワーが全てと言わんばかりに暴れ狂う4人。

フェスの帰りに終電で手を繋いで付き合っちゃうタイプのロックファンとは一線を画す世界観。

社会への抗議の音。不満のメッセージ。怒りの鉄拳。

パンク?メタル?ミクスチャー?うるせー。これがレイジだ。あ、偉そうにすみません。

spinより

レイジのサウンドに関してはトム・モレロのギターやリズム隊の演奏能力の高さが語られることも多いが、バンドの反体制的イメージの象徴はやはりザックのラップだ。

80年代にゲットーの黒人によって開発されたラップ・スタイルはシンプルなリズムにのって喋るように歌うメッセージ性の強いスタイルとしてのルーツを持つ。

歌詞という限られたスペースに「不満・怒り」という重い情報を詰め込もうとしたザックが、虐げられてきた黒人のラップ・スタイルで表現するようになったのは自然な流れだった。

ザックは歌わない。叫ぶ。ひたすらに叫ぶ。機関銃のようにまくし立て、マシンガンのように糾弾する。

オブラートに包まれていない先住民の悲しみを叫び、批判を恐れないで現状の社会を斬りまくる。

こんな風に社会的な発言を全面に押し出しているバンドでありつつも、リリースした全てのアルバムがプラチナディスクに認定されてしまった矛盾に驚く。

アメリカという国の持っている闇の深さがわかる。人間で言えば躁うつ病だ。

実際に3rdアルバムの「THE BATTLE OF LOS ANGELES」なんかはアメリカ当局の著作物ブラックリストに載ってしまったし、そんなこんなも当時は全部バンドの箔になっていった。

1997年にはU2のツアーのサポートアクトなんかもやったりしたけど、そのツアーで稼いだ金は全部メキシコのゲリラ組織や、民族主義運動組織などに寄付された。

言ってることとやってることの距離感が近すぎる。もうほんとうにスレスレだ。やべーだろこのバンド。

レイジのバンドメンバー・過去・来歴・評価など

はい。というわけで”Rage against the Machine”の4人はバンドマンというよりも巨大権力に対する”反逆者”であるというところまで説明してきました。(おい)

ここからはこの4人それぞれについて簡単に書いてみようと思います。

学生時代からの友人だったザックとトム・モレロが中心となって結成されたレイジですが、彼らの反逆の精神はどこから来るのか、それを知っている人は意外にも少ない。

なぜ彼らは自分たちの国”アメリカ”に怒っているのだろうか?なぜそこまで移民の歴史を背負い込むのだろうか?

このへんの内容が”Rage against the Machine”というバンドの核になっている。

レイジの音楽を語る上でどうしても避けて通ることができない。

ボーカル ザック・デ・ラ・ロッチャ

NME JAPANより

バンド名のマシーンとは500年もの間、抑圧された人びとの血を搾ってきたシステムのことをさしているんだ。

ザック・デ・ラ・ロッチャ

レイジのボーカル。ザック・デ・ラ・ロッチャはインディオの血を受け継ぐメキシコ人。

父親は1970年台にLAで活躍したメキシコ系芸術家の草分け的存在だった。

バンドのほぼ全ての作詞を担当する反逆者たちのカリスマで、レイジのライブの左翼アジテーション感はこのザックの鬼気迫るラップ・スタイルによるところが大きい。

レイジの3rdアルバムに収録されている”MARIA”という曲は「自身の幼少期の体験のメタファーだ」と語っている。

ザックのことを知りたければレイジの歌詞を和訳するのが手っ取り早いかもしれない。

彼女は衰弱していく、家畜のように連れて行かれる

「金がないなら血を流して返済しろ」というアメリカ人の銃口を思い出す

そして今彼女はノルマを与えられた 針と糸という磔の刑

血管から1インチも離れてないデニムに彼女は針を貫通させる

監督官が近づいてきて、彼は彼女の頭を蹴る

彼女を怯えさせて光を奪う彼の存在

休む時間はない、祈る時間もない

夢を見てるようだ、目から赤い液体が流れる

頭を打たれた感覚 手首からは血が吹き出て床が血の海になる

彼女は永遠にここにいる、彼女の最期が近づいている

決して征服することはできない でもこの状況を見ろ

MARIA

この曲の主人公は貧しいメキシコ人女性。”MARIA”は暮らしていた土地を政府に差し押さえられ、故郷を捨て、アメリカに移り、奴隷のように働かされる。

祈る暇すら与えられない劣悪な環境、信じられないほどの拘束時間、監督官からの暴行、性暴力。

”自由の国アメリカ”のマスク裏側には、目を覆いたくなるようなドロドロとした人間の剥き出しの欲望が存在する。この曲に出てくるメキシコ人の人身売買なんかはほんの一例だろう。

メキシコ人のザックが北米のオレンジ・カウンティで過ごすことになった経緯や体験がこの曲に集約されていて、この曲を聴くだけで彼の音楽活動での理念の一貫性なんかもなんとなく理解できると思う。

ギター トム・モレロ

exciteニュースより

俺がアメリカの中南米政策のことを学んだのは、テレビのニュース番組のプロパガンダなんかじゃない。

クラッシュの『サンディニスタ』からだった。

俺たちのアルバムを聴いたキッズの中にもそういう連中がきっといるはずさ。

撒いた種からは必ず芽が出てくる。そう信じてるさ。

トム・モレロ

ケニアの独立運動組織”マウマウ団”の闘士を父に持ち、反検閲団体を運営している母の元に生まれてきた筋金入りの反逆者がトム・モレロだ。マウマウ団?

実は父方の大叔父がケニアの初代大統領のジョモ・ケニヤッタだったりするすごい家系。なんでロックバンドでギター弾いてんだ?

13歳の時にLed Zeppelinの影響でギターを手にしたトムはその後、ハーバード大学の政治学部を首席で卒業してリベラル派の議員秘書をしていた。ハーバード大学を首席?

議員秘書を退職した後はバンド活動とストリッパーのダブルワークで生計を立てている期間もあった。ストリッパー?

ぶっ飛んだ経歴しか出てこない人物だし、ロック・ヒーローとしてもかっこいい逸話がある。世界有数の音楽フェス、ロラパルーザでの出来事だ。

PRMC【ロック音楽への歌詞検閲組織】への抗議のために、レイジのメンバー4人がステージに全裸で登場。一切パフォーマンスせずにただただ立ち尽くしてタイムテーブルを消化した。

その後のインタビューでトムは「考えて欲しかったんだ。これが検閲というものさ。聴きたいものも聴けない世の中。それを演奏しないことで表現したって訳さ」と語った。

大観衆の前でティム子を20分間見せつけて極め付けにこんなインテリ発言ができるなんて、このギタリスト。すごすぎる。

ちなみにあまりにも有名な話だからアレだけどエレキギターのスクラッチ奏法の発案者でもある。

ベース ティム・コマーフォード

Twitterより

paste誌の「過小評価されたベーシストランキング」で堂々の第8位にランクインした、ベースのティム・コマーフォード。

休符に特徴を持たせた跳ねるようなリフと、ハーフダウン・チューニングの重厚感のあるロックフレーズを弾き分ける。

アラサーの中ではレッチリのフリーと人気を二分する、ロック界を代表するベーシストである。今勝手に決めたんだけど。

2人は同時期に「ミクスチャー」というカテゴリーの中のバンドで活動をしていたため、ティムの方は差別化のためにフリーの得意とするスラップ奏法はあえて避けていたように思う。

指引きがほとんどなんだけど、ティムの特徴は人差し指のみでピッキングするワンフィンガー奏法を多用するところだ。

この奏法に関しては、ティムがリスペクトに挙げているRushのゲディー・リーの影響が大きいのだろう。

ドラム ブラッド・ウィルク

barksより

レイジの土台。ドラムのブラッド・ウィルクもカリスマたちを影で支える名ドラマー。

ポーランド系のユダヤ人だけど、アメリカ・オレゴン州ポートランドで生まれて、その後イリノイ州シカゴで育った。グローバルスタンダードな太鼓叩き。

13歳の時にヴァン・ヘイレンのライブをきっかけにしてロックに目覚め、ジョン・ボーナムやキース・ムーンに影響を受けつつそのグルーブを継承していく。

レイジでの活動以外でもブラックサバスのアルバムに参加したりしている売れっ子のドラマーなのだ。

ちなみにウィルクは1997年のツアー中に突如体調不良に陥り、1型糖尿病と診断されてしまった。

糖尿病を抱えながらもアクティブに世界を飛び回り、ハードなギグをこなす生活ぶりにアメリカ糖尿病協会も注目している人物。

「病気にコントロールされるのではなく、病気をコントロールする」という姿勢を貫き、同じ病気を抱えているファンに勇気を与えているのは意外と知られていない話だ。

時系列順で見る・レイジが怒れる理由

メンバーの紹介が終わったところで、レイジの怒りの源泉は中心メンバーであるザックとトムの生い立ちに拠るところが大きいことがわかってきた。

そんでここからはレイジのトラックについて紹介していこうと思う。

このバンドの曲はどのトラックも基本的にザックが怒っている。怒鳴っている。叫んでいる。

そういう曲をわざわざ選んだのではない。全部の曲で怒っているのだ。

今日は「なんでザックそんなに怒ってん?」っていうことが文章の発端であるからして、レイジってバンドの”怒りの解像度”を上げることがこの記事の課題なのかなと勝手に思っている。

レイジはオリジナルアルバム3枚、カバーアルバム1枚というリリースの少ないバンドなので、時系列順に紹介してみよう。(アンソロジーみたいのは出してるけど)

1stアルバム・”Rage Against The Machine”=”俺たちアメリカ政党組織にキレてます”

2ndアルバム・”Evil Empire”=”アメリカってのは邪悪な帝国ですね”

3rdアルバム・”The Battle Of Los Angeles”=”俺たちはロサンゼルスで戦うんだぜ”

カバーアルバム・”Renegades”=”キリストを裏切った者ですはい”

アルバムタイトルを見ただけで、もうレイジの4人はペキペキにキレていることがわかる。なにこれガチンコファイトクラブ?

ちょっと怖くなってきたが考えることをやめないのは数少ない自分の長所だとも思っている。

1stアルバム「Rage Against The Machine」より”Killing the Name”

正当化される殺し、正当化される殺し

お前は権力者どもの言いなり、お前はヤツらの言いなり

それでもお前はヤツらの言いなり、お前はいつまでもヤツらの言いなり

衝撃のデビューアルバムからは”Killing the Name”を。

アルバムジャケットにベトナムの僧侶のティック・クアン・ドックを使用し反逆者の狼煙を上げた。

ポップの息の根を止めるクロスカウンター。それが1stアルバム「Rage Against The Machine」!!

ラップ?メタル?おるたなてぃぶ?ちがうちがうだからぜんぶちがうんだって。これがレイジなのだ。

ロックに殴りつけられているかのようなリフの連続。静と動が織りなすレジスタンスたちの躍動。

この曲は1992年に無抵抗だった黒人を白人警官が20人がかりで暴行した”ロドニー・キング事件”の直後に発表された。

リリック自体もKKKの思想を持つ警察官の存在を糾弾する内容になっていて、社会的な側面が強いトラックになっている。

この”ロドニー・キング事件”に端を発して、アメリカでは”ロサンゼルス暴動”が起こることになる。

2ndアルバム「Evil Empire」より”Bulls on Parade”

武器、それは食べ物にも、家にも、靴にもならず

必要なく、ただ戦争という人食い獣のエサになる

大人気の2ndアルバム「Evil Empire」からはトム・モレロのスクラッチ奏法が世界初披露された”Bulls on Parade”を選んでみた。影が薄いと思われがちなティムが輝いているトラックでもある。

こんだけアメリカの悪口を言っているにも関わらずUSビルボードチャートで1位を獲得し大国の闇を暴いた傑作アルバムは、レッチリとかパールジャムとかサウンドガーデンのエンジニアで知られているブレンダン・オブライエンがプロデューサーとして関わっている点でも注目されていた。

軍事産業や戦争需要を「Bulls」と例え、弱者を踏み台にしている経済システムを糾弾しているこの作品。

ザックの言う「俺達の無知が、軍事契約を有効にし、実行させている」っていうリリックに、単純な怒りだけではない深い知性を感じる。

3rdアルバム「The Battle of Los Angeles」より”Sleep Now in the Fire”

俺はニーニャ号、ピンタ号、サンタマリア号

絞首刑の縄、強姦魔

大地の管理人、エージェントオレンジ、ヒロシマの聖職者

欲望の為の犠牲さ、火の海に沈め

個人的に一番好きな3rdアルバム「The Battle of Los Angeles」からは”Sleep Now in the Fire”を。

2ndから続いてブレンダン・オブライエンがプロデューサーを任され、より過激でハードな作品になったフルアルバムだ。

その中でも”Sleep Now in the Fire”はアメリカ政府の強欲さが招いた歴史上の数々の出来事に触れられている、ザックの作詞家としてのキャリアの集大成のような作品。

トム・モレロの重いリフに背中を押され、ザックの叫び声に肩を捕まれ、ティムの唸るベースに羽交い締めにされ、ウィルクはスネアの代わりにリスナーの頭をひっぱたいてくる。そんな曲です。どんな曲やねん。でも聴いてみて。かっこいいから。

カバーアルバム「Renegades」より”Kick Out the Jam”

俺をステージに上がらせてくれよ

そして俺にアイツらをぶっ潰させてくれ

そのマイクを俺に持たせろ

アイツら全員ぶっ潰してやったぜ

レイジのコアであり頭脳だったザックが脱退する直前にリリーされたカバーアルバム「Renegades」からは”Kick Out the Jam”を。

アフリカ・バンバータDEVOEPMD、ローリング・ストーンズ、ボブ・ディラン、ストゥージズ、ブルース・スプリングスティーン、ヴォリューム10、マイナー・スレットサイプレス・ヒルエリック・B・ラキムそしてそしてMC5の”Kick Out the Jam”だ。

この面々から選曲されたエッジの効いたトラックたちは、ザックの主張の解像度を飛躍的に上げた。

反逆者アーティストフェスのベスト盤を作ったら「Renegades」になりましたって感じ。

その中からMC5を選ぶことに異論はありそうだが、ガレージロックやパンクロックの源流になっている彼らの音楽は再評価されるべきだとイチローは考えているので、今回は”Kick Out the Jam”を選んでみた。

エピソードや伝説から見る・レイジの怒れる理由

レイジの音楽が好きだって人でも、レイジの行動の一つ一つを理解している人はどのくらいいるのだろう?

かくいう自分もブログで「ザックはなんで怒ってんねん?」ってな記事を書いちゃうくらいだ。いやほんと曲は好きだったんですよずっと。

そんなわけで理解を共有するため、レイジというバンドのエピソードなんかをちょちょっと書いてみようと思う。

レッチリを書いた時ほどは自分の中から出てこなかったので、知っている人がいれば教えてください。

レイジと星条旗・チェゲバラの旗

NME JAPANより

レイジのライブ映像などを観ていてバックに吊られている旗が気になった人はいるだろうか?

あの真紅の星ドロップ幕はチェ・ゲバラの旗だ。ちなみに別のギグではアメリカ国旗が逆さまに吊るされたこともある。反逆者か!反逆者だ!

ザックの放つ言葉は弾丸で、バンドの爆発力はミサイルだ。「俺たちのトラックは武器なんだ」とメンバーは言い放つ。

「自由」やら「公平」を謳って傲慢な罪を重ねるアメリカを激しく糾弾するギグはもはや戦場、怒号が飛び交い、言葉の銃弾が入り乱れる。

政治的な言葉を放つアーティストも多くなってきたけれど、レイジみたいにステージのセットの雰囲気だけでファンの心を掴んでしまうバンドはそういない。

キューバ革命の英雄を称えつつ、彼らは数え切れないほどのゲリラのようなライブを行ったのだ。

レイジとティック・クアン・ドッグ・弾圧への抵抗

日本美学研究所より

レイジの1stアルバムジャケットで燃えていたお坊さん。ティック・クアン・ドックはベトナムの僧侶で、仏教徒への不当で高圧的な弾圧の抗議のため、大使館前で自分でガソリンをかぶり火をつけた。

燃え上がる炎の中、絶命するまで彼が座禅を崩すことはなかった。ありえないくらいの精神力だ。

当時の南ベトナムのゴ・ディン・ジエム大統領は、熱心なカトリック教徒であったため国内の仏教徒を冷遇。各地の寺院を襲撃して僧たちを逮捕するなどしていた。

それに抗議したのがティック・クアン・ドッグってわけ。ちなみにジエム大統領は1963年ベトナム共和国の軍事クーデターにより殺害された。

この写真をバンドのファーストアルバムのジャケットにしたRage against the Machineの4人の心は多分こうだ。

「俺たちはいかなる弾圧も受け入れない」

レイジが否定するアメリカ・巨大システムとの闘争

the vinyl factoryより

音楽の100%は政治的だよね。音楽は規範を守るか、規範に反抗するかのどっちかなんだ。

つまりアーティストは全員、政治的だってこと。

トム・モレロ

レイジの歴史はアメリカとの戦いの歴史だ。

アメリカを激しく糾弾しつつも、その国のプラチナディスクに選出されてしまう矛盾は先述した通り。

これはいったいなんだったのだろう?ピストルズがイギリス女王をこき下ろすのとはワケが違うぞ。

これはアメリカ特有の脅迫的反復ってやつなのかもしれない。

アメリカ人はインディアン大量虐殺の罪を認めたくない。だけど深層心理で自分を否定し続けている。抑圧と正当化ってやつだ。

レイジはそのアメリカの抱える脅迫的反復の観念に風穴を空けてしまったのかもしれない。

NME JAPANより

権力に対して批判的でないってことは、権力に黙って従っているってこと。

俺のiPodにノリノリな曲がたくさん入ってないとは言わないし、もちろんそんな曲が必要な時もある。

でも俺は、自分が作る音楽で発信するメッセージとその行動を意識することの大切さも知ってるんだ。

トム・モレロ

レイジの3rdアルバム「The Battle of Los Angeles」の中に”Testify”という曲がある。

歌詞の内容は当時のブッシュ政権をメッタメタに批判したもので、この曲がキッカケになりバンドのWEBサイトがFBIによりサイバー攻撃を受けた。こんなバンドある?

しかも同政権は9.11を理由にメディアに圧力をかけ、電波媒体にレイジのトラックを自粛させ実質放送禁止に追い込んだ。こんなバンドいる?

レイジのメッセージは強烈すぎるという意見が多いけれど、そもそも音楽ってものは歴史的に政治や思想を含んだカルチャーだったはずだ。

それにロック音楽というものを通じて、若者たちに「国際的な暴力のサイクル」だったり「世界経済の軍事的なコントロール」ってものを考えさせるいいキッカケになったと個人的には思う。

とにかくあらゆる視点を持っていることが、様々な抑圧や差別からの脱却に必要なものだと考える。

映画に消耗された

色気に骨抜きにされた

タブロイド紙に解放された

空っぽの俺を満たしてくれ

ニュースキャスターはバグダッドの戦火を俺に受け入れさせる

その声は巧妙でズル賢い殺戮マントラだ

Testify

”Rage against the Machine”の怒り・レイジ考察まとめ

今日はノリで”Rage against the Machine”をまとめてきたけれど、ノリだけで語れるようなヤワなバンドじゃないことに1000字ほど書いた段階くらいで気がついた。この記事はまもなく10000字を迎える。

レイジの怒りについてフォーカスしてきたつもりだったけれど、ザックの残してきた歌詞の熱がすごすぎてその深淵で佇んでいる感じだ。イチローは平和ボケした国でヌクヌク育った甘えん坊だということがわかった。

過去に紹介してきたようなレディオヘッドとか、個人的に崇拝しているニルバーナなんかは自己否定を主軸とした内向的なトラックでスマッシュヒットを出して、世間に認められた。

アメリカをはじめとした資本主義国は、ネガティブに鋭く切り込んでくる音楽を歓迎し、彼らを”真実を語るミュージシャン”として受け入れた。

でもレイジはあまりにも他のバンドとは違う。一線を画してる。いや16線くらい画してる。

レイジの戦っている敵はあまりにも大きすぎる。巨大すぎる権力。膨らみすぎたシステム。漠然とした差別概念。4人の男がどうこうできるものじゃない。相手が悪すぎる。

そんな巨大な概念を前にした時、自己否定の闇に落ちてしまったとしてそれを誰が責められるだろう?内向的に沈んだとして誰が咎めるだろう?きっとみんな「それが真実だよ」と言って受け入れてくれるに違いない。

しかしレイジはデビューしてからというもの一貫してファイティングポーズを崩そうとしない。無謀とも感じる巨大権力との戦いに臨んでいく彼らはいつだってパンクでアナーキーで強烈に魅力的だ。

再結成後はオリジナルアルバムの発表こそないが、2020年には世界ツアーも予定されていた。(パンデミックで無くなっちゃったけど)

この闘争が行き着く先はどこなのだろうか?

僕は”Rage against the Machine”の戦いを見届けたいと思う。

NME JAPANより

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