
- スズキイチロー(36)
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アラフォーに刺さる・tofubeatsのエモビートを考察
tofubeats (とーふびーつ)というトラックメーカーがいます。
神戸出身の平成生まれのビートメーカー。
中学の時からハードオフなどのジャンク機材やレコードを漁りながら楽曲制作を続け、
神戸在住のままメジャーデビューしてしまった不思議な経歴の人だ。
tofubeatsを知ってる人は、DAOKOのこの曲がきっかけになっている人が多いと思う。
それよりも、森高千里をゲストボーカルに迎えた「Don’t Stop The Music」が有名なのかな。
フロアで踊れるナンバーが印象的なtofubeatsだけど、
自分の感覚でいうと、割と暗めの曲が多いと感じる。
「盛り上がる時は一瞬で終わる」とか「音楽ってもうダメなのかなー? そんなことないって言ってくれよ」みたいな歌詞が、突然出てきて驚く。
暗い、というのは語弊があるかな、なんつーかエモい。若い人が言うにチルいのか?
長尺のミニマルサウンドの中にも、徐々に徐々に盛り上がっていく音色の中に、なんだか物悲しくなるエッセンスが含まれていたりするのだ。
今日はそんなtofubeatsのお話。
tofubeats(トーフビーツ、1990年11月26日 – )は、日本の歌手、音楽プロデューサー、DJ、トラックメイカー。本名は河合 佑亮[1](かわい ゆうすけ[2])。主にハードオフやブックオフなどを巡り収集した中古CDや中古レコードとパソコンを駆使した楽曲制作活動を行っている。
tofubeatsの来歴

1990年生まれのビートメーカー、tofubeats。
FPMやFlo Ridaのリミックスも手がけ、サウンドクラウドのフォロワー3万人越え。
しかもその3割近くは海外からのアクセスという。
海外からも注目されている彼の音楽のスタート地点は、バンドサウンドだったようです。
最初は中1のときに、ベースを買ってもらったんですけど、挫折してるんですよ。ただ単にベースへの漠然とした憧れで手に取ってしまって。買ってもらって1週間ぐらいで速攻でやらなくなっちゃったんですよね。
tofubeats
あるある。なんか世代論で語るのはあんまり好きじゃないんだけど、
トーフさんの言葉に親近感を感じてしまうのは世代が近いからなのだろうか。
自分の考えを分かりやすく提示することがうまいのか、柔らかな声や関西訛りの語り口もあるのか、とにかく嫌味がない。
楽器を買ったけど弾かない、バンドを組んだけど活動しない、
そんなアウトプット初期あるあるみたいな恥ずかしい話も、等身大で語っている。
ベースはやっぱその場で弾けないといけないし、バンドをやるならメンバーが必要だけど、サンプラーなら1台でデモ音源がつくれるってことがわかって。自分的には音楽制作のハードルを下げていって、「これならできるかも」っていうのがサンプラーだったんですよね。
tofubeats
年が近い、って言っても俺の方が2、3上だし、ほんと世代論なんてアテにならないのは重々承知なんだけど、
アラフォー世代?というか今の30代くらいって、政治に限らず未来は常に悪くなっていく、楽しい時は長くは続かない、みたいな強迫観念を感じ続けている人は本当に多いと思う。
ジャンプやマガジンでは、信じて頑張れば報われる、夢は叶うって書いてあったのに、実際そうでもないらしい。
トーフさんの日記の中にも、将来食いっぱぐれたらどうしよう、資格とか取っておいたほうがいいのかな、みたいな心配が度々出てくる。
一寸先は闇で、愛は世界を救わないところを、俺たちの世代は散々見てきてしまった。
ヒップホップについてずっと調べていたら、最終的に「機械で音楽がつくれる」ってことがわかって。雑誌とかでいろいろ調べて、最終的にサンプラーという機材(一台で音を打ち込んで録音・再生できる機材)にぶつかるんですけど。
tofubeats
トーフさんの日記を読んでいると、DIY精神に根ざした性格をしているんだな、と感じたりする。やってみよう精神?というか。
例えば、テレビ番組の収録で、自らを尊敬する若手へ教える「活躍し続けるための秘訣」を問われた際「運」と答えて失笑を買うという笑える話も出てくるけど、
そういう身も蓋もない言葉を吐いてしまい、再収録にもちゃんと応じてテレビ用のコメントを用意するトーフさんの「真面目さ」を自ら几帳面に日記に落とし込んでいくその姿勢とか、
そのような日々を書き残すことで「フリーの音楽家の自立」の様が立ち上がっていくその経過に、
何年何年も、さほどPVのないブログを運営している自分が励まされる思いがある。
きっかけは当時、テレビにKICK THE CAN CREWとかRIP SLYMEとかがめっちゃ出てて。そういう売れてるものは普通に聴いてて、その話を同級生としたときに、もっと深い「日本語ラップ」ってのがあるよ、と教えてもらって。そいつはお兄ちゃんがいて、日本語ラップをいっぱい聴いてたんですよ。
tofubeats
このような流れで日本語ラップ・ジャパニーズHIPHOPに出会うことになったトーフさん。
このような流れでトラックメイクするようになった彼の音楽の魅力についても書いてみようと思う。
tofubeatsの魅力

トーフさんは日本の音楽シーンで独特のスタンスで活動している。
彼の音楽の目覚めは、BUDDHA BRAND「人間発電所」だそうな。
俺がトーフさんの楽曲に感じる魅力ってのは、本人のこの一言に集約されている。
「経済っぽい道理の外にあってほしいやん、音楽って」みたいな我々のロマンがあるわけですよ。それをどうやって実践していくか、そういうことを日々考えてる感じですね。
tofubeats
このセリフの後ぶっきらぼうに「突然海外の有名プロデューサーから電話かかってこねえかな。」みたいなセリフが聞けるのも最高に良い。
俺も音響の仕事をしていると、S/N比だとか、売上枚数だとか、集客数だとかの評価基準で仕分けされている演者をよく見かけます。
いい音楽は相対的な価値基準で判断されないので、資本主義に寄りすぎていると本質を見失ってしまう。
トップダウンで「感動させてあげよう」みたいなものにムカつく、って話じゃないですけど。やっぱノイズミュージックとか聴いて「すごいな」って思ってるときに、ノイズミュージックを「すごいな」って思える感覚が、人間に備わってることに、けっこうテンション上がるっていうか。
tofubeats
ヒップホップをルーツとしながらも、インターネットを通じて中学生から活動を開始したトーフさんは、youtubeで往年のJ-POPと出会う。
当時は語弊無く「時代遅れでダサい」とされていた音楽を中心にサンプリングを重ねる試みは、
トーフさんが飛躍するきっかけとなった「水星」につながっている。
※ご承知のとおり、同楽曲は今田耕司・KOJI 1200の「ブロウ・ヤ・マインド」をサンプリングして生まれた楽曲だ。
「綺麗だからいい」ってわけじゃないんだ、と思えるもの。そういうのがやっぱ面白いし、ロマンが入る余地があるな、って実感できるところだと思うんで。そういう余地を残しておきたいなっていうのはありますね。けっこう説明がむずいんですけど。
tofubeats
本人が説明が難しいと言っているのに、赤の他人の俺が何を言えるんだって話でもある。
毎回、音楽関係の記事を書いていて思うことだけど、とにかく一度聴いてもらうのが早い。
そこからアーティストのバックグラウンドが気になったら、もうそれはきっと運命だよ。
tofubeatsのおすすめ曲
ここからは独断と偏見でトーフさんのおすすめ曲を選んでみます。
地球の気温はどんどん上がっているけれど、みんなのテンションは年々下がっているように感じる。
そんな人たちのテンションがちょっとでも上がればいいなと思う。
その1【WHAT YOU GOT】
トーフさんのイメージっぽい、クラブでアゲアゲな感じのトラック。
このトラック、楽曲だけじゃなくて映像までトーフさん本人が作ったそうな。
素材を何種類か買っただけでMV作っちゃうとかヤバイね〜
なんかもうヴァイブスがすごいよね、ヴァイブス魔法学校出身なのかも。は?
その2【朝が来るまで終わる事のないダンスを】
トーフさんの代表曲として語られることが多いこの曲。
東京の景色をGoProで撮影しただけ(失礼)のMVがめちゃいい感じ。
曲は曲でどんびーしゃい、って感じで上がる。イヤホンではちょっとピーキーに感じるかも。いやどうだろうモニター環境って難しいよな。
謎は深まるばかりである。この謎は深掘りしても何も出てこないと思うので、とりあえず迷宮入りの棚にしまう。

その3【LONELY NIGHTS】
名盤『FANTASY CLUB』に収録された【LONELY NIGHTS】。
夜の東京を気分良くドライブするチルofチルな1曲。
俺たちの暮らしの豊かさは、社会の面白さに直結するから、
こんな風に毎日楽しく生活していれば、世の中はちょっとずつよくなってしまうかもしれない。
その4【水星 feat.オノマトペ大臣】
2011年リリースの水星。様々なアーティストにリスペクトされた名曲。
有名なのは先に書いたDAOKOのカバーバージョンでしょうか。
そのほか、小沢健二やスチャダラパーなどにもアレンジされ話題に。
あまり知られていないが、この曲の元ネタは今田耕司の「Blow Ya Mind-I LOVE AMERICA」だそうな。

その5【BABY】
ブレバタの『あの頃のまま』をサンプリングした「BABY」。
日曜の朝みたいな爽やかなトラック。
どこか遠くに行きたいけれど、なぜか行けないのさ。
笑ってるフリの君を見てる、優しいね。
諦め?違うな、脱力を気取るでもなく、目の前の物事にちゃんと向き合いつつ、肩の力を抜いたスタンス。
昔誰か言ってたよね、「空が青すぎて怖い」って。あの歌詞に似てるな。どうだろう、違うかもしれない。
