森淳一監督・映画・LAUNDRY(ランドリー)について

映画の話

やっぱり理由はないけれど・映画・LAUNDRYについて

こんばんわ。

深夜ニュースを見ながらダラダラ活動しているけれど、それも終わると今度は懐かしいDVDを出してきてダラダラ流し見しているイチローです。

この前はサッド・ヴァケイションだったけれど、最近はLAUNDRYを流していることが多いので、今日もこの懐かしい映画について書いてみようと思う。

すごくささやかで、人に強烈なインパクトを与えるような作品ではないのですが、映像の撮り方やセンテンスの持たせ方が素晴らしく、情報量は少ないけれど考えさせられるセリフの多い邦画の名作だと勝手に思っています。

腹を満たして、いい映画でも観れば、大抵のことはどうでもよくなる気がする。

自分はしなやかで強い人間を目指していて、この方向に少しづつ進めたらなと思う。

そうすればもっと無理なく、もっと良い暮らしを長く続けられるかもしれない。

そんなわけで今日は”森淳一監督映画・LAUNDRY”の話。

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『Laundry』(ランドリー)は、森淳一著作の小説(メディアファクトリー刊)、およびそれを原作として製作された映画。2000年「サンダンス・NHK国際映像作家賞 日本部門」受賞作品。

Wikipediaより

LAUNDRYのあらすじ・ネタバレ込み

「僕の名前はテル。本当はテルオだけど、みんなテルって呼ぶ。僕はコインランドリーで働いている」

というセリフからスタートする”Laundry”。

子供の頃の事故で頭に障害を負ってしまったテル(窪塚洋介)が働くコインランドリーは、街の色々な人たちに愛される平和な場所だった。

テルはそこでばあちゃんの指示により、下着泥棒から洗濯物を守る役割を担っていた。

そんなある日、水絵(小雪)という女性が洗濯にやってきた。

水絵はコインランドリーの洗濯機の中にワンピースを忘れていく。

テルは忘れ物を届けてあげたことから水絵と親しくなっていきます。

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既婚者に振り回され、心にキズを負っていた水絵は子供のように純粋なテルに心を開いていきます。

しかし都会での生活に疲れ、ある日故郷の実家に帰ってしまいます。

お別れをした直後、テルは水絵が再びコインランドリーの洗濯機に忘れ物をしていることに気付きます。

水絵の忘れていった服は、血がこびりついており洗っても洗っても落ちませんでした。

洗濯をしすぎてボロボロになってしまった服に刺繍で補修まで施したテルは、その忘れ物を水絵に届けるために自分の小さな世界から踏み出すことを決意。

その旅の途中に、強面だが親切なサリー(内藤剛志)という男と知り合いになります。

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無事に水絵に会えたテルは、忘れ物を届けに来たことを告げ笑顔を見せます。

テルの裏表のない言葉や優しさに、水絵は涙を流します。

ふたりでの短い生活もつかの間、テルの元にばあちゃんの悲報が飛び込んできます。

ばあちゃんの持ち物だったコインランドリーは売り払われ、帰る場所まで失ったテル。

墓参りを済ませ途方に暮れますが「なにかあったら来い」と言ってくれたサリーのことを思い出します。

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サリーの仕事は冠婚葬祭で鳩を飛ばす仕事でした。

テルはサリーの助手として仕事を手伝うようになり、水絵は仕事をしているふたりのためにごはんを作って待つようになります。

まるでおとぎ話のような不思議で優しい幸せな3人の時間が続きます。

しかしある日突然サリーは「デカパイの金髪女性」と結婚することを目標に掲げ、日本を出ることを決意。

自分の仕事や屋敷をテルに与え、ふたりの前から姿を消してしまいます。

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ふたりはサリーの残していった屋敷で平凡ですが、幸せな生活を送ります。

そんなある日、二人は散歩に行き、ある雑貨店に入ることになりました。

テルはとても高価なガラス細工の小さな置物を何気なしに手に取ってしまい、それを置くときに気付かずに壊してしまいます。

水絵はそれを隠すため、その商品を万引きしてしまいます。

昔負ってしまった心の傷が原因で盗癖がついてしまっていた水絵。

前科があり、不幸にも実刑が科せられてしまいます。

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水絵は刑期を終えて出所しましたが、テルが自分を待ってくれているのか、自分がテルのそばに居ることが許されるのか、不安でいっぱいでした。

テルは自身の「人の物を盗むのは、よくないからね」という価値観と水絵への感情の狭間で苦しみます。

それでも不器用なふたりは、自分たちの手作りの幸せを信じてお互いを求め続けます。

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LAUNDRYのおすすめポイントについて考察

ってな感じであらすじはこんなもんにしといて、”Laundry”の良き所についてポイントごとに考察していきたいと思います。

なんかこの映画に関して言語化することは野暮なように感じるけれど、まぁ書き始めてしまったのだから最後まで書いてみようと思う。

みんな同じこと考えてるからこの映画の考察とかしてるサイト少ないんだろうな〜。

理論上、文章を書くって行為は何を題材にしてでもできることだ。

でも実際にやってみると、そんなにうまくはいかない。

少なくとも僕の場合、テーマと序章だけでそれ以降どうしても筆が進まない文章がすごく多い。

“言語化”って本当に奥が深い。無理に言葉にしないほうがいいこともたくさんあるのかもしれない。

個人的に好きなポイントその1・やさしい3人が良い・窪塚洋介・小雪・内藤剛志

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“Laundry”という映画はすごくささやかな世界を描いている映画で、見せている範囲をあえて制限しているようにも感じる。

そんな映画に出てくる主要な人物は3人しかいないと言っていい。

テル・水絵・サリーだ。

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テルは昔マンホールに落ちて以来、軽度の知的障害を抱えながら暮らしてきた。

純粋すぎるくらいに純粋で、素直で裏表のない言葉に水絵は救われていく。

変われなくても、頑張らなくても、人は満たされていいし、救われていい。

「疲れた時は目を閉じればいい」みたいな当たり前だけど忘れていたことを思い出させてくれるキャラクター。

でも窪塚洋介本人はこの役のこと好きじゃなさそうだな〜。あはは。

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昔の心の傷を癒す方法がわからず、自分の人生の中で静かにもがいていた水絵。

過去と向き合うこと、自分と向き合うこと、その苦しみの中で葛藤します。

そんな日々の中で、テルの無垢なやさしさに触れて水絵は少しづつ自分を取り戻していきます。

そう考えると”Laundry”って映画は、つまりは「水絵再生ストーリー」なのかもしれない。

表情や相槌だけで”心に傷を負った女”を演じられる小雪さんパねぇっす。

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内藤さん演じるサリーの不器用なやさしさは、なんの混じり気もなくテルや水絵に引き継がれます。

“愛”という言葉の意味をテルに教え、水絵には「テルは絶対にお前を裏切らない」と保証します。

気が荒く失礼な店員に殴りかかったり、道端でカージャックまがいのヒッチハイクをしたりしますが、そこもサリーの魅力。

言葉と行動に一貫性のある、素敵でちょっと困ったおじさんなのです。

個人的にはこの映画で1番好きな登場人物だなぁ。

個人的に好きなポイントその2・ささやかな日常の中にある風景が良い・ロケ地など

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この映画、映像の合間の余白がすごくいい感じ。

セリフが少ないのもそうなんだけど、映像の情報量が少ないのに印象に残るシーンが多くて深夜に観るのに最適かも。

まぁ、なんか雰囲気がいいんですよなんだか。という身も蓋もない言い方しかできない自分はそれほど映像作品に詳しくない。

はぁ。もう成長とかどうでも良いし、ばかとかダサいとか思われても良い。

好きなものの事だけ自分の言葉で書きたい。思った事だけしゃべりたい。

この映画を観ているとそんなことを漠然と考えてしまう。なぜだろうか。

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水絵が水たまりをジャンプして生まれ変わろうとする場面。

この巨大なガスタンクは作品の中の印象的なシーンで多用されます。

ロケ地は東京都の板橋区のようです。

水絵の故郷のワンシーン。

実家の美容室(理容室?)も雰囲気があっていい感じだった。

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テルが水絵の忘れ物を届けるために旅するシーン。

水絵の故郷のロケ地は静岡県の伊豆だそうです。

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静岡が舞台になるので綺麗な海のシーンも多く出てきますね。

サリーの車によってヒッチハイクに成功したテルは幸運でした。

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ただふたりが散歩しているシーン。

サリーの屋敷のロケ地はどこなんだろうか?

個人的に好きなポイントその3・考えさせられる名言が多くて良い・名シーンなど

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愛だな。そういうの愛って言うんだよ。

宇宙じゃ知らねえよ。

少なくとも地球じゃ、愛って呼ばれるんだ。

このセリフはテルがそのまま水絵に発するし、テルのセリフとしてDVDの帯などに書かれていたりするので主役の発言かと勘違いされますが、実はサリーがテルに教えたもの。

ペラペラの服を一枚届けるためだけにヒッチハイクをしながら旅をしているテルにサリーは尋ねます。

「その女のことが好きなのか?」

わからない、とテルが言ったところでこの名言が飛び出します。

メモまでとって熱心に言葉に耳を傾けるテルに、サリーがまんざらでもなさそうに照れるのが可愛い。

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あんまりしゃべらない人は、心の中でいっぱいしゃべってるの。

都会での生活に疲れて田舎に帰ることを決めた水絵は、コインランドリーにいたテルを誘ってバス停まで一緒に行こうと誘います。

その道中、水絵が言葉少ななテルに対して言った言葉がこれ。

自分も喋るのは得意じゃない、と水絵は言う。

「そういうことしてると、人は離れてく」

そのように会話を結び、目の前に広がる水たまりをジャンプで越えられたら、自分は変われると思い込もうとする。

その後、実家に帰ってから気丈に振る舞う水絵だったが、なかなか人生は思うようにいかないのだった。

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世の中には、うまくいく人とうまくいかない人がいる。

テルの世界は、コインランドリーとばあちゃんと暮らす家との往復が全てだった。

ばあちゃんがいつも言っていたことは、その狭い世界にうまく馴染んだ。

「世の中には、うまくいく人とうまくいかない人がいる」

息子夫婦に邪険に扱われるおじいさん。

デビュー以来負け続けている新人ボクサー。

最初の忘れ物を届けた時に、とても悲しい顔をしていた水絵のことも”うまくいかない人”だとテルは感じ取っていた。

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履歴書は嘘でも、写真は本物だ。

サリーはテルとの旅の途中、昔の話をする。

サリーがサラリーマンだった時代に、ある女性が事務職員として入社してきた。

その女性の歓迎会で酔っ払った上司たちが彼女に「何か芸をしろ」と絡んだ。

その女性はカラスの鳴き真似を何度も繰り返した。そして一週間後、仕事を辞めていた。

彼女の履歴書を「ウソばかりだ」と言って破り捨てる事務員の目を盗んで、写真だけとっておいたサリー。

「履歴書は嘘でも、写真は本物だ」

このエピソードに関して詳しく語られることはないし、後日談も全くない。

それでもなんだか妙に心に残った言葉だったので紹介してみた。

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自分を裏切らねえと思える奴は、そういるもんじゃない。

“デカパイの金髪女”と結婚するために屋敷を出ていく時にサリーが水絵にかけた言葉。

「とりあえず、奴はあんたを裏切らねえよ。それは絶対だ」

そう言った後この名言を続けて、ひとりでていくサリー。かっこよすぎる。

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ねえ、僕らも結婚しよう。

サリーが去ってから初めての仕事の日。

その日の仕事は結婚式で、テルと水絵は一緒に鳩を飛ばした。

その式はとても感動的で、慎ましやかな幸せに包まれていた。

それを見たテルは仕事の帰り、興奮気味に車中で言うのだった。

「ねえ、僕らも結婚しよう。あんな風に結婚式を挙げようよ」

あー、そんな時代もあったなぁ。って全アラサーが思うシーン。

個人的に好きなポイントその4・Atamiが歌う”Under the sun”が良い

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この映画はこの”Under the sun”が挿入歌として色々なアレンジで使われている。

そして満を辞してエンディングで流れるAtami(BONNIE PINK)が歌う正規のバージョン。

この曲で”Laundry”が完成しているって言えるくらいにかなーり重要な曲だと思う。

例えるなら”アカルイミライ”の「未来」(バックホーン)みたいな・・・あ、今度これについて書いてみよう。

若い頃に比べたら作業スピードや、思いつくアイデアの量が減ったかもしれない。

でもまぁクリエイティブのために生まれたわけじゃないし、いま幸せならほとんどのことがどうでも良い。

全然気にしない。いつか書こう。

映画・LAUNDRY・考察・まとめ

テルは真っ白い人間だ。真っ白い人間が働く” Laundry”は洗濯する場所のことだ。

水絵には平凡な夢があった。花屋になるという平凡な夢。

でも最愛の人に裏切られてしまう。受け止めきれなくって盗んでしまうようになる。

そんな水絵に”目を開いてばかりだと疲れちゃうから、目を閉じると楽になるよ”とテルは言う。

その印象的な言葉が示すように、世の中に疲れてしまった人たちみんなを洗い流してくれるような映画になっている気がする。

丁寧に紡がれた作品は、終始寂しい雰囲気で進むけれど、最後はじんわりとあたたかな気持ちになる。

生き物っていうのは自分も含めていつ死ぬかわからないもんなので、好きなものに関しては出来るだけ言語化して残しておきたいって考えてしまう。

久しぶりにちゃんと観たけれどやっぱり名作でした。誰かに伝わるといいのだけれど。

今日は映画”Laundry”の話でした。寝ます。おやすみなさい。

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